第44回歴史講座                       日時:2018年3月11日(日)13:30~15:30

題目:太田道灌

  (関東を切り開いた悲劇の名将)

場所:北区区役所多目的室                  講師:平川敏彦

参加者:22名

 

 

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太田道灌
関東を切り開いた悲劇の名将
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「太田道灌」の画像検索結果 「太田道灌」の画像検索結果 平川撮影

太田道灌「関東を切り開いた悲劇の名将」と題しての卓話。道灌人気はどこにあるのか?

武士であり文化人でもあった道灌 主家のために一生懸命働いた道灌ではあったが主家をしのぐ存在となり主家扇谷上杉定正の命によって暗殺されてしまう。訓練された足軽隊を率い30連勝。東京埼玉には多くの戦場跡やゆかりの地がある。

 

蓮田市潤戸には「道灌手植えの松」がある。江戸城河越城(当時は河越)から岩付城(当時は岩付)へ移動するのは大宮地区には見沼は広がっておりまた荒川を渡河するには蓮田地区の浅いこの地が最適だったらしい。道灌は旅人が休息できる様に松の木を植えて「吾庵」となずけ休み所を作ったとの言い伝えです。(蓮田ボランテアガイドの会三井様からの情報です)

道灌を慕う武蔵国の民。

さいたま市北区奈良町には「三貫清水」という道灌が鷹狩りに来た時その清水でお茶をたてふるまった。という泉がある。道灌は「うまい」と喜びその民へ三貫(現在の金額で50万円)の褒美をあげた。末端の民にも心配りのある道灌の逸話です。

どの話も道灌の遺徳をしのぶお話です。

 

家康は関東の戦国大名の後北条より源氏の流れで家柄もよく江戸を栄えさせたの道灌を高く評価した。道灌の作った江戸城は根城、中城、外城からなる連郭式城郭でその中に金閣寺を思わせる静勝軒という立派な建物があった。そこで漢詩文の万里集九を招き歌会や茶会を開いた。また城から10K離れた平川まで堀を作り海への輸送を円滑にした。(現在その名残が「道灌堀」として残っている)

道灌が上洛の際 後土御門天皇に「江戸城からの眺めはどうじゃ」と聞かれ「我が庵は松原遠く海近し富士の高嶺を軒端にぞ見る」と詩で答えた。

道灌の詩で有名なのは「七重八重花は咲けども山吹の実の一つだになきぞ悲しき」で道灌が鷹狩りに出かけたとき(または父を訪ねて越生へきた)突然雨に降られ民家へ蓑を借りに入ったが女性(紅皿)が「八重の山吹」の一枝を差し出した。

道灌が「花を求むるにあらず」と怒って帰ったが後に家来から山吹には七重八重花は咲けども山吹のみのひとつだになきぞ悲しきの古歌(後拾遺和歌集兼明親王の作)の意が託されていたのだと教えられ無学を恥じそれ以降歌道に励んだ。

八重の山吹には実はつかない、「貧しくてお貸しする蓑(実)はありません」という意味。

のちに道灌はその娘(紅皿)を和歌の友とした。

太田家を再興したのは家康の側室「お梶」後の「お勝」。太田道灌のひ孫である。

このお勝の養子が水戸家当主(水戸黄門の父)となる。

側近に太田家の身内をつける。これが水戸太田家となる。

そして「浜松城主」「掛川城主」が誕生していく。

「お勝」こと英勝院は鎌倉駅から線路沿いにある鎌倉唯一の尼寺「英勝寺」に眠っている

 

 

赤羽駅から5分 元道灌の城「稲付城」現在は

静勝寺 道灌堂があり道灌木造座像が安置されている。26日が月命日でその日はお堂の戸が若干開く。道灌座像は色付の著書の表紙の写真にもなる立派なものだった。寺院の屋根には太田家家紋(細桔梗)の桔梗門があった。(2018年1月撮影)

ちなみに皇居の桔梗門は門に道灌の桔梗門があることから命名されている。

 

日暮里東口駅前の道灌公像(西口には道灌ゆかりの寺 屋根瓦に桔梗門のある本行寺がある)

馬にまたがり勇壮な姿。(2018年1月撮影)

道灌像は全部で12体

東京に3体(東京国際フォーラム、新宿中央公園、日暮里駅前)埼玉に6体(川越長寺と市役所前 岩槻2体 芳林寺と市役所前 越生2体) 静岡1体(熱川) 長野1体(佐久)

新宿中央公園 「久遠の像」(2018年1月撮影)

「山吹の里」伝説の一か所

「七重八重 花は咲けども山吹の 実のひとつだに なきぞかなしき」 後拾遺和歌集兼明親王の作

道灌が鷹狩りに出かけたとき急に雨が降り民家に蓑を借りに入った。中から娘が出てきて一枝の山吹の花を差し出した。「花をもらいに来たのではない」と怒って帰ったが家臣から詩の意味を聞かされた。八重の山吹には実がつかない。(根で繁殖する)「貧しくてお貸しする蓑(実)はない。」ということを歌に託した行為だった。道灌は恥じてその後詩の道に勤しんだ。この女性紅皿といい後に道灌の詩の友となった。

山吹伝説は各所にある。神田面影橋野たもと。越生の山吹の里 など。ゆかりの地には山吹の花が植えられているが一重の花もある。ゆかりの地には八重を植えてほしい。と願っている。

道灌の著書は非常に多く道灌人気がうかがわれる。

下記は2018年1月出版の最も新しい道灌の著書である。

写真は2018年平川撮影

徳間書店から転載許諾済み。